アメリカ人の75%はロシア撤退企業を「支持する」

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アメリカ人の75%はロシア撤退企業を「支持する」

2022年2月24日にロシアがウクライナに軍事侵攻して始まったウクライナ戦争。終息の兆しがまったく見えず被害だけが広がっていますが、この状況をアメリカ人たちはどう見ているのでしょうか?

 

ウクライナのサポート・ロシアからの撤退を支持するアメリカ世論

MORNING CONSULTが先月2月26~27日に成人アメリカ人を対象に行った調査によると、企業によるロシアでの事業停止を「強く支持する」「ある程度支持する」と回答した割合は75%にのぼりました。

また具体的に企業はどのような対応を取るのが望ましいか?という質問には「永久的な事業撤退」が37%、「一時的な事業撤退」が36%、「事業は継続しても侵攻を非難する声明を出すべき」が8%、「特に何も対応する必要はない」は4%で、企業側には厳しい対応を望んでいる様子が伺えます。

 

大手広告エージェンシーは全社ロシア撤退を完了

オムニコムグループ電通グループが3月17日にロシアでの事業停止を表明し、これで世界的な大手広告代理店はすべてロシアから撤退したことになります。

オムニコムと電通は、現地法人への出資やジョイントベンチャーの運用など現地との繋がりが少なからずあったため、ロシアによるウクライナ侵攻から1週間足らずで撤退を決めたWPPグループよりも時間を要しました。このように撤退と継続のジレンマに揺れる企業は他にもあります。

 

撤退したくてもできないバーガーキング

マクドナルドがロシアから撤退する直前、店に長い行列ができたことはニュースになりましたが、その隣でバーガーキングは今でも営業を続けています。これは現在の世論感情を逆なでし、メディアで批判の対象となりました。危機を感じたバーガーキング側は声明を発表。それによると、バーガーキングはロシアではフランチャイズ制を採っており、それを管理する現地企業の株式をRestaurant Brands International(バーガーキングの親会社)は15%しか保有しておらず、現地企業より事業のシャットダウンを拒否されたとのことです。

バーガーキングのように事業モデル的に撤退が難しいケースの他にも、撤退を躊躇する企業は多数あります。Nestle・P&G・ペプシコなどいくつかの大手日用品メーカーは、ロシアでの事業出資やマーケティング活動はすでに停止していますが、商品の流通は継続しています。日用品はなくなった場合に市民生活への影響が大きいという人道的な理由によるものですが、ウクライナの政府高官はこの対応に不満を表明しており、ツイッターで企業側に再考を促しています。

 

“プーチンの戦争”という認識は正しいのか?

現在、アメリカ・日本を含む西側諸国の報道は全面的にウクライナ寄りと言えます。侵略を始めたロシアが絶対悪であり、すべてはプーチンの横暴によって引き起こされているように報じられています。プーチンは確かに強いリーダーですが、仮にもロシアのような大国がたった1人の独断で戦争を始めるとは考えにくいのと、プーチン1人を排除して解決するシンプルな話でもないように思われます。

この戦争がどうして始まったのか、政権内部ではどんなやりとりが交わされていたのか、周辺諸国がどう関与していたのか、前線では何が起きていたのか、本当のことが明らかになるのはもっとずっと先のことです。しかし、企業の経営活動は日々目の前のことです。真実が見えにくい中で、世論感情にも現地とのつながりも配慮しなければならない企業各社は、難しい舵取りを迫られています。