海外B2Bマーケティング戦略:最重要な4つの軸とは

末永 恵

海外B2Bマーケティング戦略:最重要な4つの軸とは

アメリカをはじめとする海外市場では、B2B企業であってもデジタルマーケティングに注力するのが当たり前になっています。ネットでは「これからの時代はとにかくAI」「アメリカ人は全員LinkedInを使っている」「リード獲得にはウェビナーが最強」などのさまざまなアドバイスが溢れていますが、何が最適な手法かは業界や事業規模、商材によっても変わってくるため、これらの情報の洪水の中から自社にとって本当に必要な施策を見極めるのは容易ではありません。

具体的なマーケティング手法の検討に入る前に押さえたいのは、「何をやるか」よりもまず「なぜやるか」の視点です。闇雲に流行りのツールを導入したり、“DX”などの言葉に踊らされるのではなく、自社の事業目的と海外市場の特性を理解した上で、戦略を立てることが成果を上げるためには欠かせません。

今回の記事では、海外市場に向けたB2Bデジタルマーケティングの戦略を設計する際に特に重要な、4つのポイントをご紹介します。

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①タッチポイントを増やす

マーケティングにおける『タッチポイント』とは、見込み客と企業が接触するあらゆる機会のことを指します。B2B企業においては、展示会、コールドコールやコールドメール、取引先からの紹介、業界誌への広告出稿などが従来の主なタッチポイントでした。これらは今でも有効な手法ですが、接点が1回きりでは人の記憶には残りません。大切なのは物理・デジタル問わず、接触の“回数”を意識的に増やすことです。自分の購買行動を振り返っても、1回名前を見聞きしただけで購入や問い合わせに至ることは稀ではないでしょうか?

マーケティングでも、見込み客が実際にアクションを起こすまでには平均して7回以上の接触が必要だと言われています。認知促進、リーチ拡大は以前はB2Cマーケティングのものと考えられていましたが、現在はB2Bにおいても無視できない要素です。SNS投稿、リターゲティング広告、ウェビナー、ニュースレター、ホワイトペーパー、業界パートナーとの共催企画など、チャネルを多様化して露出を図り、企業名や商品名を継続的に刷り込ませていくことが、最終的にリード獲得へとつながります。

 

②データ活用の精度を上げる

タッチポイントを増やす目的は単にリーチを広げることだけではありません。それは同時に、見込み客に関するデータを収集する機会でもあります。

ウェブサイトのアクセス解析では、ユーザーの地域や流入元、ページビュー数などの基本的な情報を得ることができますが、近年のB2Bマーケティングにおいてはより突っ込んだ興味関心層の行動、たとえばどの企業からアクセスがあり何の商品ページを閲覧しているのかといった“インテントデータ”を把握することが大切です。これらのデータは、リードスコアリングやメール配信の最適化など、アウトリーチ施策に直接活用できるほか、コンテンツマーケティングの改善にも役立ちます。狙い通りのターゲット層に訴求できているかを確認したり、逆に想定していなかった業界から関心が寄せられているといった新たな発見につながることもあるかもしれません。

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こうした分析には、マーケティング部門と営業部門の連携が不可欠です。連携不足による「マーケティング経由のリードの質が悪い」「セールスチームのクロージングが弱い」といったありがちな責任の押し付け合いを避けるためにも、共通言語としてのデータを基に協業体制を敷くことが求められます。

ちなみに、初めてデジタルマーケティングに取り組む企業の中には、「オンラインならすべてが可視化できる」と誤解しているケースも少なくありません。実際には、個人情報の保護強化という世の中的な流れによってデータ取得はむしろ難しくなってきており、トラッキングが不可能な“ダークファネル”と呼ばれる領域が広がっています。大事なのはすべての行動データを見える化しようと躍起になるのではなく、収集できたデータをどう活かすか、であると認識しましょう。

 

③バイヤージャーニーを極力オンラインで完結できるよう整備

自社の商品に興味を持つ見込み客を見つけたら、すぐに商談をしたいと思うのは売る側としては当然の心理でしょう。「興味があるんだから、直接話を聞きたいだろう」と思うかもしれませんが、現代のB2Bバイヤーは違います。特にミレニアル世代以降のバイヤーは、極力自分で調べてからでないと営業担当にコンタクトはしたくないという傾向が強まっています。

事実、米国ではB2B購買プロセスの約7割がオンライン上で完結しているとの調査結果もあります。「ウェブサイトに情報がなければ問合せしてくるだろう」と出し惜しみするのは逆効果で、ウェブサイトに必要な情報が掲載されていなければ、その時点で選択肢から外されてしまうリスクが高くなります。「このようなカスタマイズは可能か?」「導入費用はどうなるのか?」といった、どうしても人を介さないと分からない部分だけを最後に問い合わせて確認したい――それが現在の主流です。

営業担当主導でコミュニケーションを進めるのではなく、“会話の必要性が生じるまで”をどれだけオンラインでスムーズに進められるか。これは自社サイトやコンテンツの質に大きく左右されます。売り手側からすると、目の前に潜在顧客がいるのに話ができないのはもどかしく感じるかもしれませんが、逆に考えればその分、確度の高いリードにのみリソースを集中できるというメリットもあります。

 

④Credibility=“信頼性”を築く

バイヤーが最終的に取引先を選定する段階で、重要な決め手となるのがCredibility(信頼性)です。製品スペックや価格帯がほぼ同じ企業が候補に残ったとして、より安全性の高い選択をしたいと思うのは組織として当然のことです。

「この会社と組んでも本当に大丈夫か?」という感覚的な安心感。これに対しては、“業界メディアでの掲載実績”“顧客企業によるレビューや導入事例紹介”“LinkedInでのフォロワー数やエンゲージメントの高さ”といった第3者による信頼性の証明、いわゆる『Earned Media』が重要な役割を果たします。

B2Bの意思決定は1人でなく、複数人によって下されることが多いものです。得体の知れない会社に初めて発注するのは勇気のいることであり、責任も伴います。そんな中で誰かひとりでも「この会社、最近記事で見かけた」と言ってくれるだけで、チーム内の印象は大きく変わります。今後はB2Bビジネスであっても、ブランディングがますます重要になっていくことは間違いないでしょう。

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なんの目的でやっているのか?を常に念頭に

冒頭でも触れましたが、具体的な施策を考える前には「なぜそれをやるのか」を明らかにしておくことが重要です。そしてそれをチーム全体で共有しておくことも忘れてはいけません。マーケティングなどの対外的な取り組みは社内でも目に触れやすく、「Eメールマーケティングはもう古いんじゃない?」「競合はもっと派手なキャンペーンをやっているよ」などの横やりが入ることも、会社に属している以上は避けられないでしょう。

そんなときに「自分たちはなぜ今これを実行しているのか」をロジカルに説明できれば、相手にとっては納得感がありますし、常に目的意識を持つことはチームにとってもプロジェクトを推進するモチベーションとなり、地道な継続は成果へとつながります。戦略あっての戦術――その視点を常に持ち、ブレないマーケティングの基盤を整えていきましょう。


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